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Q&A

相続放棄と生命保険

最終更新日:2014/06/18

 先日、父が亡くなりました。父は借金を多く抱えていたので、相続人である母や私の兄弟は相続放棄を検討しています。ところが、父が私を受取人とする生命保険契約を締結していたことがわかりました。相続放棄を行うと、生命保険金も受け取れないのでしょうか。

 

  受取人の指定がなされていた場合、相続放棄をしても生命保険金を受領できます。
  相続放棄は、相続の開始があったことを知ったときから3ヶ月以内に、被相続人(本件のケースでは父親)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に対して、相続放棄の申述という手続を行います(民法915条1項、938条)。この期間内に手続を行わなかった場合、相続を承認したとみなされてしまいますので、注意が必要です(民法921条2号)。また、例えば、相続財産からの葬式費用の支出(相当額ならば問題ないと解される余地があります)や、被相続人名義の家屋取壊しといった、相続財産の処分を行った場合も、相続を承認したとみなされ、相続放棄はできなくなりますので注意が必要です(民法921条1号)。 
  では、生命保険金の受取も、相続財産の処分行為と解されるのかという点ですが、受取人を別の人で指定してある場合、生命保険契約上、保険金請求権は、その受取人(本件のケースでは相談者)が固有に取得する権利となるので、相続財産にはあたりません。従って、相談者の方は、相続放棄を行っても、生命保険金を請求・受領することが可能です。
  生命保険の受取人が「相続人」と指定されている場合も、同様に、保険金受取人となる相続人1人1人の固有の請求権であって、相続財産にはならないと考えられています。養老保険の事案ですが、同様の考えを示した最高裁判例が存在します(最高裁第三小法廷昭和40年2月2日判決。民集19巻1号1頁)。
  但し、生命保険の受取人が被保険者自身(本件のケースでは父親)と指定されている場合には、保険金請求権は相続財産に組み込まれるため、保険金を請求・受領することは、先述の「相続財産の処分行為」に該当します。 

     弁護士  浦 本 真 希   uramoto@fujikake.lawyers-office.jp