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Q&A

未払残業代が請求できる場合

最終更新日:2018/09/13

Q

私は、つい先日、3年前に入社した会社を退職しました。入社後、通勤日はほぼ毎日のように残業をしていたにもかかわらず、一度も残業代を支払われたことはありません。退社にあたり、会社に対し、残業代を請求しましたが、会社は、報償手当として支払われていた毎月2万円が固定残業代であるとして、支払いに応じようとはしません。このような場合でも、残業代を請求することはできますか。

 

A

「残業代」という言葉は、一般社会では広く用いられますが、「残業代」という用語が用いられた法律はありません。一般的に、「残業代」は、次の4つの割増賃金を指しています。

・深夜労働に対する割増賃金...深夜労働(午後10時~午前5時)に労働したとき

・法定休日労働に対する割増賃金...法定休日(週1日)に労働したとき

・時間外労働に対する割増賃金...1日8時間、週40時間を越えて労働をしたとき

・法内残業に対する賃金...所定労働時間を越えて労働したとき

このように、一口に「残業代」といってもその種類は様々であり、1~4のどれに該当するかによって割増率等も異なってきたりするなど、その計算方法は複雑ですので、専門家に委ねた方がよいでしょう。

 

残業代を請求するにあたって、最も重要なことは証拠を収集することです。具体的には次のような証拠が必要となります。

・雇用条件を示す資料(例:雇用契約書、労働条件通知書等)

・休日、所定労働時間等を示す資料(例:就業規則)

・労働時間を示す資料(例:タイムカード、業務日報等)

最低限以上のような資料が必要となってきますが、タイムカードや業務日報等による労働時間の管理がなされていない場合もしばしば見受けられます。そのような場合でも、業務用メールアカウントの送受信記録履歴、帰宅時のタクシーの領収書、手帳に記載したメモ等でも証拠となり得ますので、労働時間に関係すると思われるものはできる限り収集してください。

 

会社に残業代を請求した際、事例のように、ある「手当」がみなし残業代の趣旨で支払われたと主張されることがあります。

この主張が正しいかどうかを判断するためには、「その『手当』は本当に残業代の代わりとして支払われているのか?」を検討する必要があります。

まずは、雇用契約書や就業規則などにおいて、その「手当」が残業代の趣旨で支給されることが明記されているかを確認する必要があります。もし、そのような記載がないのであれば、そもそも労働者の同意がなく、会社の主張が認められる可能性は低いでしょう。

仮に契約書や就業規則などにおいて、形式的に「〇〇手当は残業代として支払う」などと記載があったとしても、次のような場合には、会社の主張は認められる可能性は低いと思われます。

・当該手当が残業時間に比例してではなく、会社の業績に連動して支払われている場合のように、実際の支給実態からみて、それが時間外労働に対する対価として支払われたとはいえない場合

・実際の割増賃金との不足額について、当該賃金の支払時期に精算するという合意があるか、少なくともそうした取扱いが確立していない場合

このように、事例のような会社の主張が認められるのは、実態として残業代の代わりとして当該手当が支払われているような限られた場面といえます。 

 

弁護士 上 田  貴 ueda@fujikake.lawyers-office.jp