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相続に関するルールが変わります

最終更新日:2019/01/09

相続法が改正されると聞きました。その際に、「配偶者居住権」という制度が新設されるとのことですが、現行の相続制度との間でどのような違いが生じるか教えて下さい。

 

1 相続法の改正

平成30年7月6日に改正相続法が成立し,同月13日に公布されました。相続法の改正は昭和55年以来,約40年ぶりとなります。主な改正のポイントは,ア.配偶者の居住権を保護するための方策,イ.遺産分割等に関する見直し,ウ.遺言制度に関する見直し,エ.遺留分制度に関する見直し,オ.相続の効力等に関する見直し,カ.相続の効力等に関する見直しとされ,各々で制度の新設や改正がなされています。

なお、施行は、各制度ごとに違いがありますが、遅くとも公布の日(平成30年7月13日)から2年以内とされています。

 

2 配偶者居住権について

配偶者居住権は,今回の相続法改正の目玉ともいえるものであり,上記アのために新設された制度です。

一般に,配偶者の一方が死亡した場合に,他方の配偶者は住み慣れた建物での居住を希望するのが通常です。特に,相続人である配偶者が高齢者である場合には,住み慣れた居住建物を離れて新たな生活を立ち上げることは精神的・肉体的に大きな負担となると考えられることから,高齢化社会の進展に伴い,配偶者の居住権を保護すべき社会的要請は大きくなっていきました。

そこで,法改正により,配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物を対象として,終身または一定期間,無償で、配偶者にその居住を認める権利として「配偶者居住権」を新設し,遺産分割又は遺贈によって,配偶者が配偶者居住権を取得できるものとしました。なお,配偶者居住権を相続人以外の第三者に主張するためには,登記を得なければならないとされています。

配偶者居住権においては,配偶者に無償で長期の使用収益権を認める一方,配偶者居住権自体を相続財産の一部と評価します(配偶者居住権を借地権と同様に考え、不動産の所有権につき、「配偶者居住権」と「配偶者居住権の負担付所有権」を区別して観念し、配偶者は配偶者居住権を相続したものとします)。すなわち,配偶者居住権の財産評価を行い,配偶者は自己の具体的相続分から「偶者居住権の財産評価額」控除した残額について財産を取得することとなります。

なお,この財産評価の方法については,いまだ定まった方式が提示されておらず,今後の課題とされていますが,法務省のウェブサイトに「簡易な評価方法」として次の計算方法が示されており,参考になるものと思われます。

(年額建物賃料相当額?配偶者負担の必要費(固定資産税等))×年金現価率

 

※法改正により、配偶者居住権の他、配偶者短期居住権という制度も新設されました。

配偶者の居住権を守る制度という点で配偶者居住権と共通しますが、配偶者短期居住権は、遺産分割等により居住建物の帰属が確定するまでという比較的短期間に限定して、緊急的な保護のために定められたものであり、設定のために被相続人、相続人、及び建物所有者のいずれの同意を要しないとする点が違いといえます。

 

3 現行の制度との違い

 

被相続人 夫A

相 続 人 妻B(70歳)、子C(法定相続分1/2ずつ)

遺    産 土地建物 3000万円

          預金   3000万円

 

現行の制度の場合、上記事案で妻Bが従前の住居に住み続けるためには、遺産分割により、土地建物を取得するほかありません。そうすると、預金3000万円は子Cが取得することとなり、妻Bは預金を受け取ることができません。

 

しかしながら、法改正後、妻Bが、配偶者居住権を取得することにより、次のようになります(配偶者居住権の価値を1500万円と仮定)。

妻B=配偶者居住権1500万円+預金1500万円

子C=配偶者居住権負担付の土地建物1500万円+預金1500万円

 このように、法改正により、配偶者は、従前の住居に居住を継続しながらも、被相続人の残した遺産を取得出来る可能性が高まったことが現行の制度との大きな違いとなります。

弁護士 上 田  貴 ueda@fujikake.lawyers-office.jp