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Q&A

ワケありマンションの売却・賃貸

最終更新日:2019/02/06

マンション1棟を所有して賃貸業を営んでいますが,その1室で1人暮しをしていた老人が浴室で溺死しているのが,死後一週間以上たってから発見されました。このようなワケありの部屋を新たに賃貸するにはどうすればよいのでしょうか。

 

高齢者の孤独死や自殺事件,場合によっては殺人事件が発生したワケありマンションが増えています。このようなワケあり物件については,売買や賃貸をするに際して,ワケありであることを告知する義務があると言われていますが,告知してしまうと買い手も借り手もつかないというジレンマに陥り,不動産のオーナーを悩ませることになります。

マンション内で自殺や殺人があったからといって,物件が物理的に傷むわけではありませんが,誰しも,少なくとも通常の物件と同じ対価で取引しようとは考えないという点において,心理的瑕疵がある物件として物理的瑕疵がある物件に準ずるものと考えられています。従って,ワケありの事実を告知せずに取引をすると,瑕疵担保責任や説明義務違反として損害賠償責任を負わされたり,場合によっては契約を解除されてしまうことになります。

それでは,不動産のオーナーとしては,どうすれば心理的瑕疵を治癒することができるのでしょうか。これについては,いくつかの要因があると考えられています。

1 時間的要因

一般的にワケありが発生した時点から時間が経過すればするほど,心理的瑕疵は治癒する方向に向うと考えられています。例えば,広島や長崎の原爆で多数の死者が発生したからといって,現時点で広島や長崎に居住することが気味が悪いと考える人はいないでしょう。何年経過すれば,瑕疵が治癒されるかは一概には言えませんが,他の要因と合わさって治癒されることもあるでしょう。

2 中間者の介在

ワケあり物件ではあっても,通常の買受人や賃借人が一定期間使用した場合には,心理的瑕疵が希釈されると考えられています。従いまして,例えば,学生のグループに数年間,格安で賃借して居住してもらえば,瑕疵は薄まることになります。

3 建物の形状

ワケありが発生した時の形状をそのまま残しているよりも,改装して形状に変更を加えれば,瑕疵は薄まります。もちろん,コストの問題はありますが,マンションごと建替えてしまえば,瑕疵はほとんど治癒されると考えてよいでしょう。

4 その他の要因

人口が密集した都会よりも過疎地の方が,また,マンションで言えば,ベランダでの自殺よりも寝室での自殺の方が心理的瑕疵は強まる傾向にあると考えられています。

さらに,当然のことですが,瑕疵の重大性にも左右されます。例えば,一家皆殺しの事件現場では,そのままの形状ですと瑕疵の治癒はほとんど困難ですが,老人の孤独死(自然死)のようなケースならば,瑕疵の治癒は容易ということが言えるでしょう。

以上のとおり,様々な要因があって明確な基準はありませんが,要は,通常人なら通常の対価で取引しようと考えるかどうかで判断するしかありません。

神戸湊川法律事務所 所長弁護士  藤 掛 伸 之 fujikake@lawyers.jp