メールフォームはこちら

078-341-3684

  1. 神戸湊川法律事務所
  2. Q&A
  3. 交通事故・個人事業主の休業損害

Q&A

交通事故・個人事業主の休業損害

最終更新日:2019/04/10

私は個人事業主をしていますが、先日、交通事故に遭いました。次の場合、休業損害を請求できるのでしょうか。

確定申告を行っていない場合

b 申告外所得がある場合

c  事業が赤字となっている場合

 

1 問題の所在

          休業損害とは,交通事故による傷害の症状固定までに発生する就労不能ないしは通常の就労が出来ないことにより,生ずる収入減少額を損害とするものであり,本来得られたであろう収入が交通事故により得られなかったことを損害ととらえるものです。

         計算方法はおもに1日あたりの収入額(収入日額)を認定した上で,休業日数を乗じて計算することが多いです。

   (計算式)収入日額×認定休業日数

         給与所得者であれば,第三者である使用者が,源泉徴収票等により,収入を証明することから,争点となることは少ないです。他方,個人事業主の場合,確定申告の所得額が収入認定の基礎となりますが,確定申告は,被害者本人で行うもので,必ずしも客観性が担保されておらず、実際の収入と申告額が一致しない場合もしばしばあるため,問題となることが多いです。

2 aについて

         確定申告を全くしていない場合であっても、直ちに無収入と推定して休業損害が否定されるわけではなく、所得金額を他の資料から認定できる場合には、休業損害を請求できます。例えば、会計帳簿を作成している場合には、会計帳簿とその裏付け資料(通常の伝票類、日計帳、レジの控え、通帳の入出金状況)を提出して、実際の所得金額を証明することで休業損害が認められる可能性があります。

         また、預貯金通帳を確認した結果、ある程度の生活水準にあることが認められ、被害者に相当の収入があると認められる場合には、賃金センサスの平均賃金額を参考に基礎収入額の認定がされた例もあります。

3 bについて

         申告外所得とは、損害賠償請求において、確定申告書の所得額は実際の所得より低く申告しており、実際の所得は確定申告書よりも多いと主張することです。具体的には、経費の水増し又は売上げの過少申告等により、確定申告の所得額が実際には過小なものであると主張することを指します。

         このような、申告外所得の主張が全く認められないわけではないですが、自己矛盾の主張ですので、申告外所得の認定は厳格に行われるべきであるとされており、収入(総売上高)と原価や諸経費につき、信用性の高い証拠による高度の証明が必要であるとされています。具体的には、上記2と同様に、帳簿とその裏付資料の提出が必要となりますが、それだけでなく従前の確定申告の内容や一般の統計資料の数値から、裏付け資料の信用性を判断されることとなります。

         また、申告所得が賃金センサス等の平均賃金を下回る場合や、赤字の申告がなされている場合であっても、業務帳簿や預貯金通帳等の証拠によれば、相当の収入があると認定できる場合には、賃金センサスの平均賃金額を参考に基礎収入額を認定することもあります。

4 cについて

          確定申告書上だけではなく、実際に事業が赤字となっている場合、マイナスに一定の数字を乗じてもプラスにはなりませんので、休業損害は発生しないように思えます。しかしながら、前年度の確定申告と当年度の確定申告を比較して、交通事故のために赤字が拡大したといえる場合には、その赤字の拡大をもって休業損害を求めることも可能です。また、事業を継続する上で休業中も支出を余儀なくされる家賃、従業員給料等の固定経費も相当性がある限り、休業損害と認められることもあります。

 

弁護士 上 田  貴 ueda@fujikake.lawyers-office.jp