メールフォームはこちら

078-341-3684

  1. 神戸湊川法律事務所
  2. Q&A
  3. 自筆証書遺言の方式の緩和

Q&A

自筆証書遺言の方式の緩和

最終更新日:2019/05/08

相続手続に関する平成30年の法改正で,自筆証書遺言の方式が緩和されたと聞きましたが,どのように緩和されたのですか。

 

平成30年に民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律が成立し,相続手続について大幅な変更が加えられ,原則として本年7月1日から施行となりますが,一部の改正はすでに施行されています。特に,自筆証書遺言の方式の緩和に関する規定は1月13日に施行されており,現在すでに新方式で行うことが可能な状況となっています。

遺言の方式にはいくつかの種類がありますが,公証役場で公証人に作成してもらう公正証書遺言と,遺言者が自ら自筆で作成する自筆証書遺言が実務上よく用いられています。このうち,公正証書遺言は,法律の専門家である公証人が法律に適合する内容であることを吟味して作成し,公証役場で保管もされるので,安全確実な遺言作成方法と言われています。他面,作成には原則として証人2名とともに公証役場まで出向かなければならないことや作成手数料の負担があるなどのデメリットもあります。

これに対して,自筆証書遺言は,1.全文を自筆して,2.日付を記入し,3.署名・捺印するという3要件が充たされていれば有効とされる遺言の方式で,手間も費用もかからない簡易な遺言作成方法です。他面,法律家のチェックが入らないことから無効な内容の遺言を作成してしまったり,要件の一部を欠いたために無効になるなどのリスクを伴います。また,相続開始後も,遺言書の保有者は家庭裁判所で「検認」と呼ばれる遺言書の確認手続をとることが義務付けられているなどの負担もあります。

しかしながら,自筆証書遺言は,公正証書遺言と比較して作成の負担が軽いので,いつでも何回でも気軽に書き直しができる遺言作成方法として、そのメリットはデメリットを上回るものがあると言えます。

自筆証書遺言のもう1つのデメリットとして,全文自筆を要求されることから,不動産や預貯金が多い遺言者が財産目録を全文自筆で作成する負担が重くなり,作成ミスも増えるということがありました。そこで,このたびの改正法では,パソコンやワープロで作成して印刷した財産目録や預貯金通帳をコピーしたものでも,それらの書面に遺言者の署名・捺印があれば有効とされ,全文自筆の要件が緩和されました。

この改正により,特に多種類の財産を保有している方が自筆証書遺言を作成するのが大変便利になったということができます。しかし,多くの財産を保有している方にとって,作成した遺言が有効か無効かは相続開始後に重大な影響を及ぼしますので,自筆証書遺言を作成された場合には,弁護士等の専門家のチェックを受けることをお勧めします。


神戸湊川法律事務所 所長弁護士  藤 掛 伸 之 fujikake@lawyers.jp