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新型コロナによる就職内定取消

最終更新日:2020/07/06

新型コロナウィルスでの業績不振を理由に、就職内定が取り消されました。内定取消について、法的に争う余地はないのでしょうか。

 

世界中で新型コロナウイルスの感染が広がり、我が国でも緊急事態宣言が発令されるまでに至りました。緊急事態宣言で人の移動が制限され、経済が滞った結果、各企業の業績は悪化しています。その結果、従業員のボーナスのカットや、ひどい場合には従業員の解雇等の例が報じられています。そして、残念ながら、新卒者も例外では無く、耳にするようになりました。

 

まず、判例上、内定者は、「始期付解約権留保付の労働契約」とされています。すなわち内定者は、企業との間で労働契約を締結しているが、それが4月から効力を有するという意味で「始期付」で、かつ、大学を卒業できなかったなど、やむをえない場合などには内定を取り消す権利を企業側が留保しているという意味で「解約権留保付」です。

 

このように、採用の内定により労働契約が成立している以上、使用者による一方的な解約は解雇にあたります。そのため、労働契約法16条が適用され「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇」は権利の乱用として無効になります

そして、新型コロナのように学生側に何らの責もない場合には、使用者が留保している解約権行使の問題ではなく、通常の正社員の解雇と同様に、会社の業績悪化による解雇が解雇権の乱用にあたるかどうかという問題になります

業績悪化や事業縮小など人員削減のための解雇を「整理解雇」と呼び、これが許されるのは次の4つの要件を全て満たした場合です。

1 人員整理の必要性

2 解雇回避努力義務の履行

3 解雇される人の人選の合理性

4 解雇手続きの妥当性

 

この点、現在いる社員よりも、新入社員を整理するというのも一つの合理的な判断ではあるので、1~3の要件を満たす可能性はあります。

問題は4の要件で、使用者企業側との間できちんと説明や話し合いを経たうえで、内定取消なされたことが必要ですが、これもなされず、突然、内定取消をされた場合には、解雇が無効となる可能性があります。

 

また、内閣官房において、「新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた2020年度卒業・修了予定者等の就職・採用活動及び2019年度卒業・修了予定等の内定者への特段の配慮に関する要請について」という文書が出されており、そこでは、やむをえない事情により採用内定の取り消しまたは採用・入職時期の延期を行う場合には、対象者の就職先の確保について最大限の努力を行うとともに、対象者からの補償等の要求には誠意を持って対応することが要請されています。

この要請について全く則らないような方法でなされた内定取消も無効とされる可能性があります。

 

このように、コロナを理由に内定取消がなされた場合も、その内定取消が無効とされる場合はありますので、一度、弁護士にご相談ください。

弁護士 上 田  貴 ueda@fujikake.lawyers-office.jp