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Q&A

マンション管理費滞納のまま死亡

最終更新日:2020/08/18

Q

私はマンションの管理組合理事長です。今から約半年前に,区分所有者の1人の老人がいわゆる孤独死をされました。同じマンション内の居住者との交流もほとんどなく,死亡が発覚したのは,亡くなってから1か月以上も経過してからのことでした。

ご葬儀などは,親族の方が来られて済まされたようですが,マンションの管理費は半年以上も滞納となったままです。いずれは,ご親族から連絡があると思って待っているのですが,部屋は空家のままであり,訪ねてくる人もありません。

これ以上の管理費の滞納を阻止し,滞納管理費を回収するにはどうすればよいでしょうか。

 

A

少子高齢化に伴って,独居老人が増えています。特にマンションでは,近隣の付合いが希薄であるため,隣の部屋の住人がどういう人物であるかに関心もなく,ご相談のケースのように,孤独死していることが長期間判明しないこともめずらしくありません。

マンションで区分所有者の老人が孤独死した場合に,たちまち生じる問題が管理費滞納の問題です。面倒をみていた子がいる場合には,マンションを相続したその子に請求すればよいのですが,独居老人には,子がいない場合も多く,その場合,相続人は,兄弟姉妹やその子(つまり,甥・姪)にまで及び,相続人が多数となるケースが多いです。しかも,それらの相続人の多くは,本人との親戚付合いもないことから,相続したという自覚もありません。従って,マンションの相続について話合おうともせず,ましてや負担の発生する管理費を積極的に支払うことなど到底期待できないというのが現実です。

その場合,管理組合としてまず第一に行うべきことは,その老人の相続人を確定することです。相続人を確定するためには,本人の生れてから亡くなるまでの戸籍謄本等を取寄せる必要があり,特に,子のいない独居老人の相続人を確定するためには,多くの戸籍謄本等が必要となるのが通例です。

相続人が確定した場合には,各相続人に対し,滞納管理費を請求することになりますが,滞納管理費は,原則として相続人各人に分割して相続されるため,各相続人には法定相続分に応じた金額しか請求することができません。例えば,亡くなった老人の相続人が合計10名の甥・姪で,滞納管理費が50万円だとすると,各人に5万円ずつしか請求することができないことになります。10名も相続人がいる場合には,相続に関心を示さない相続人も少なくとも何人かはいるはずですので,全額回収は困難になります。

相続人から滞納管理費の全額を回収できない場合には,その部屋を競売にかけることができます。相続人らがマンションの相続に関心を示さない場合には,この方法がてっとり早い場合もあります。また,競売することにより,所有権が競落人に移転し,将来の管理費の支払いや物件の管理も期待できます。

管理組合が持っているマンションの管理費請求権には、法律によって先取特権という担保権が与えられているので,滞納管理費について訴訟をしなくても,滞納のあった部屋を不動産競売にかけることができることもメリットの1つです。

なお,独居老人が死亡して相続人を探したところ,相続人が存在しなかったというケースもあり得ます。独居老人に子がなく兄弟姉妹はすでに死亡していてその兄弟姉妹にも子がいないといったケースです。そのような場合には,家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらって,その相続財産管理人と交渉することによって滞納管理費を回収することになります。

相続人の確定や競売申立,さらには相続財産管理人の選任等の手続には専門的知識が必要となりますので,弁護士等の専門家に相談されることをお勧めします。

神戸湊川法律事務所 代表弁護士  藤 掛 伸 之 fujikake@lawyers.jp