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パワハラ防止措置の義務づけ

最終更新日:2020/09/17

いわゆる、パワハラ防止法が施行されたと聞きました。企業としてはどのようなことをしなければいけないでしょうか。

 

「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(通称「パワハラ防止法」)が、2020年6月1日から、施行されました(但し、中小企業では2022年4月1日から施行)。これは、近年、パワーハラスメント(以下「パワハラ」といいま)に関する相談や不満を持つ従業員が増加している現状に鑑み、職場におけるパワハラ対策を事業主に義務づける法律であり、法改正に伴い厚生労働省において指針が公表されています。

 

まず、指針において、職場におけるパワハラとは、職場において行われるもので、次のアからウの要素を全て満たすものと定義されています。

ア 優越的な関係を背景とした言動であって

イ 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、

ウ 労働者の就業環境が害されるもの

そのため、客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、イの要件を満たさないため職場におけるパワハラには該当しません。

 

その上で、事業主に対し、パワハラを防止するために、次のような、雇用管理上の措置を講ずることを義務づけています。

 

1 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発

事業主は、職場におけるパワハラに関する方針の明確化、労働者に対するその方針の周知・啓発として、次の措置を講じなければなりません。

? 事業主はパワハラを防止するために自社でどのような方針をとるのかを明確にし、管理監督者を含める労働者に周知・啓発しなくてはならず、例えば、次のような措置を講ずる必要があります。

・就業規則に、職場におけるパワハラを行ってはならない旨を規定する。

・社内ホームページなどに「パワハラを行ってはならない」と明記し、発生原因や背景、トラブル事例なども併せて紹介する。

・社内方針やパワハラの発生原因・背景を理解させるための研修や講習、説明会などを行う。

? パワハラを行った者に対して厳しく対処する方針や、懲戒処分などの対処内容を就業規則や服務規定に定め、周知・啓発しなくてはならず、例えば、次のような措置を講ずる必要があります。

・就業規則に、職場におけるパワハラを行った者に対する懲戒規定を定める。

・就業規則において懲戒規定が定められていることを社内報等により周知する。

 

2 相談に応じ、適切に対応するための体制づくり

事業主は、労働者からの相談に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するために必要な体制の整備を整えておく必要があります。

例えば、相談に対応する担当者を決める、相談への対応を弁護士などへ外部委託するなどの方法が挙げられます。また、相談窓口の担当者が適切に対応できるよう、担当者へ対する研修の実施や人事部との連携をあらかじめ整えておくことなども求められます。

 

3 パワハラが発生した場合の迅速・適切な対応

事業主は、職場におけるパワハラの相談があった場合において、次の措置を講じる必要があります。

・事実関係を迅速かつ正確に把握する

・パワハラの事実が確認できた場合には、パワハラを受けた被害者に対する配慮措置を行う(例:休暇を与える、必要な補償をするなど)

・パワハラの事実が確認できた場合には、加害者に対する必要な措置を行う(例:注意、配置転換、懲戒処分など)

・再発防止に向けて、改めて事業主の方針を周知・啓発するなどの措置をおこなう

 

4 上記1から3までの措置と併せて講ずべき措置

上記1から3に併せて次の措置を講じなければならないとされています。

・相談者や相談を受けた者、行為者、目撃者などの第三者のプライバシーを保護するために必要な措置

・労働者が相談したことや相談された者が調査したことなどを理由として、解雇・降格その他不利益な取り扱いをしないように定め、労働者に周知・啓発すること

 

以上のように、パワハラ防止法は事業者に様々な措置を講じる義務を課しています。これらに違反した場合、罰則が定められているわけではありませんが、例えば、事業主が被害者から損害賠償を求められた場合、上記義務を果たしていないことそれ自体が職場環境配慮義務に違反しているとして、損害賠償責任を負うことになりかねません。

研修の実施やパワハラの相談窓口の外部委託など、弁護士がお手伝いできることは色々ありますので、困ってらっしゃる事業主の方は、是非一度お気軽にご相談ください。

弁護士 上 田  貴 ueda@fujikake.lawyers-office.jp