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自筆証書遺言書保管制度について

最終更新日:2020/11/13

死亡した時に備えて自筆証書遺言を作成しましたが、どのように保管すればよいか困っています。遺言書の改ざん等によって相続人間で揉めないようにするために、よい方法はないでしょうか。

 

自筆証書遺言とは、遺言書の全文(但し、財産目録は除く)・日付・氏名を自書し、これに押印することによって成立する遺言です(民法968条1項)。

自筆証書遺言は、自書能力さえ備わっていれば専門家等の力を借りることなく、いつでもどこでも作成することができるものであり、特別の費用もかからず、遺言者にとって手軽で自由度が高いというメリットがあります。

他方で、自筆証書遺言には、ア.作成や保管について第三者の関与が不要とされているため、遺言書を紛失する可能性があること、イ.遺言者の死亡後、遺言書の改ざん等を理由に遺言書の成立の真正や遺言の有効性、遺言内容をめぐって紛争が生ずる可能性があること、ウ.相続人が遺言書の存在に気付かないまま遺産分割を行ってしまう可能性があること、エ.厳格な要件が定められており、方式不備を理由として無効とされるおそれがあることなどのデメリットが指摘されていました。

そこで、手軽で自由度が高いという自筆証書遺言のメリットを損なうことなく、自筆証書遺言の上記ア~エのデメリットに対応できる制度として、令和2年7月10日から、自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度が始まりました。

これは、作成した自筆証書遺言を法務局に保管する制度ですので、遺言書を紛失するおそれという上記アのデメリットに対応できます。また、遺言書の保管の申請は、遺言者自らが出頭しなければならず、その際、本人の顔写真付きの公的証明書により、本人確認を行いますので、遺言者の真意に基づかずに作成された遺言書の保管を防ぐことができ、上記イのデメリットにも一定程度対応できるとともに、保管の前に、遺言書保管官が自筆証書遺言の有効性を審査するため、上記エのデメリットに対応できます。

保管開始後は、遺言者は法務局から保管証を交付されます。保管した遺言書の原本又は画像情報は遺言者のみが閲覧でき、いつでも保管の申請を撤回することができます。

遺言者の死亡後には、相続人らは、遺言書の内容を証明する遺言書情報証明書の交付を請求することができるほか、誰でも、自己が遺言者の相続人等に該当する遺言書についてその保管の有無を調査することができます。なお、遺言書保管所に保管されている遺言書については、家庭裁判所の検認が不要とされています。

遺言者の死亡後、相続人等が遺言書の閲覧等をしたときは、遺言書保管官は、他の相続人等に対し、遺言書を保管している旨の通知をするものとされているため、相続人等が遺言書の存在に気付かないまま遺産分割を行ってしまうという、上記ウのデメリットに対応しております。

以上のように、自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度は、自筆証書遺言の簡便さを維持しつつも、そのデメリットを補い、ひいては死後の相続人間の争いを予防するものとして有用な制度ですので、遺言書の作成をお考えの方は活用してみてはいかがでしょうか。

弁護士 上 田  貴 ueda@fujikake.lawyers-office.jp