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Q&A

副業・兼業にあたっての社内整備

最終更新日:2021/06/03

Q

副業や兼業を認める会社が増えてきているようです。どのような社内ルールの整備が必要でしょうか。

 

A

終身雇用制度が定着していた時代は、副業・兼業は就業規則で禁止されていた会社も多くありました。しかし、多様な生活スタイルの尊重や女性の社会進出に伴う育児や介護の分担、通信機器環境の向上による働き方の変化といった流れの中で、起業や隙間時間の活用、ワークライフバランスの重視といった就労に対する考えの変化が進み、副業や兼業への注目が高まっています。厚生労働省も、副業・兼業の促進に関するガイドラインを策定しています(令和2年9月 改訂最新版)。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000192844.pdf

副業・兼業(以下、副業と省略します)を認める場合、会社はまず、その旨を就業規則に明記する必要があります。副業に関する就業規則を新設もしくは改定する際には、どのような形で副業を認めるか(許可制や届出制とするのか)、自社での労務提供との両立の観点から、禁止事項や制限事項をどのように設けるかを検討することになります。具体的には、長時間労働や危険を伴う作業により労務提供に支障が生ずるような副業や、競業他社での副業や秘密保持義務に反するような行動といった自社の正当な利益を害するような場合について禁止・制限条項を整理します。労働契約書にも反映させ、入社時に副業の有無を確認できるシステムも構築しておくべきでしょう。

なお、副業・兼業に関する裁判例では、労働時間外の時間の使い方は基本的には労働者の自由であると示されています。また、労働者が会社に対して負う秘密保持義務や競業避止義務については、労働者の従事する業務内容ごとに会社の正当な利益の範囲を検討することになります。

労働時間の管理について、労働基準法38条第1項は「事業場を異にする場合でも、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と規定していますが、この「事業場を異にする場合」とは、事業主を異にする場合も含むとの通達があります。つまり、労働基準法が適用されない職種(フリーランスや独立・起業等)や同法が適用されるが労働時間規制が適用されない職種(農業、畜産業、管理監督者、高度プロフェッショナル制度等)以外の職種では、本業の会社でも、副業先の会社でも、労働者から申告された自社以外の勤務先での労働時間の把握が求められます。時間外労働も、労働が提供された順に通算して、自社の事業場の労働時間制度おける法定労働時間を超える部分は、時間外労働として、そのうち自社で労働させた時間に対して時間外割増賃金を支払う必要があります。労働基準法で規定されている時間外労働と休日労働の合計上限(単月100時間未満 複数月平均80時間未満)は、労働者個人の実労働時間に着目した規定のため、兼業先と合計して超えることのないよう配慮しなければなりません。

このように、会社は労働者から適切な労務提供を受けられるよう、副業先の業務内容及び労働時間を把握しておく必要があるため、兼業を認めるにあたっては、労働者と十分なコミュニケーションをとれるような環境作りが求められます。

弁護士 浦 本 真 希 uramoto@fujikake.lawyers-office.jp